患者の皆さまへ

チーム医療

造血幹細胞移植医療には血液専門医をはじめ
さまざまな医療従事者がおり、
チーム一丸となって患者さんの治療にあたります。

移植の流れ

2~3週間前

入院
全身状態の評価としては、移植前に患者さんの循環器系、呼吸器系、消化器系、肝機能、腎機能その他の全身疾患等について検査を行います。

1週間前

前処置
患者さんの体内に残存するがん細胞をできるだけ壊滅させるため、およびドナーの細胞を拒絶せず受け入れられる(“生着する”という)ように、移植の約1週間前から行います。前処置療法では大量の抗がん剤や全身放射線照射を行います。この移植前処置が行われる時期より移植専用の病室(クリーンルーム)に入ることが一般的です。

移植日当日

造血幹細胞移植
骨髄、末梢血幹細胞あるいはさい帯血の輸注は、移植前処置終了後1~2日後に病室で行います。いずれも中心静脈カテーテル輸血と同じように点滴で注入(輸注)します。

約3週間後

生着
末梢血幹細胞移植では約2週間、骨髄移植で2−3週間、さい帯血移植では約3−4週間で好中球の生着を迎えます。その後、少し遅れて赤血球や血小板数の増加がみられ、次第に赤血球および血小板の輸血が不要になります。

2~3か月後

退院
退院後は移植後長期フォローアップ外来(LTFU外来)を受診していただき、体調管理(薬、食事、感染症など)をおこなっていきます。免疫機能回復を図りながら、徐々に社会復帰を果たし、QOL(生活の質)の向上を目指していきます。

移植後長期
フォローアップ外来
(LTFU外来)

移植後には、感染症やGVHDだけでなく、時間が経ってから
身体の様々な臓器から発症する「晩期合併症」が起こることがあります。
これらを予防したり、早い段階で発見して適切な治療やケアにつなげたりするために、
移植が終わった後も、定期的に検査や診察、生活指導などを受けていただきます。

  • 内科は毎週火曜日、小児科では毎週金曜日に LTFU外来を行なっています
    ※お問い合わせは主治医または各外来へご相談ください
  • 全身状態や慢性GVHDのスクリーニング評価
  • 食事や日常生活における感染予防の指導
  • GVHD予防と症状への対応策について
  • 予防接種のタイミング
  • 晩期合併症や性腺機能障害の予防と早期発見について
  • 2次がんの予防と早期発見のための検診相談
  • 就労・就学支援に関する支援

患者指導用リーフレット(第一版)

LTFU外来における晩期の合併症などに関する情報提供を目的としています。

移植担当施設の医療従事者の皆様に自由にダウンロードいただけるようになっております。各ご施設で印刷の上、LTFU診療にご活用ください。 患者さんやご家族の方は、ご使用の前に移植後通院中の医師・看護師に必ずご確認ください。

就労・就学支援について

琉球大学病院では「就労・就学」をサポートします。

  • 仕事はどのように復帰したらいい?
  • 職場へ何と伝えたらいい?
  • 移植を受けたらどの位で仕事に戻れるの?
  • 学校生活はどの様な事に注意したらいい?

琉球大学病院では移植終了後、入院中から就労・就学をサポート致します。
当院のソーシャルワーカーや看護師、造血幹細胞移植コーディネーター(HCTC)にご相談下さい。

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患者担当医

患者担当医

患者さんの造血幹細胞移植を担当します。移植前・中・後を通して移植チーム間の連携を図り、患者さんの体調を整え、最適な治療法(前処置・移植細胞・免疫抑制剤の種類など)を提供するように努めます。またQOL(生活の質)を維持・改善し、社会復帰できるように援助します。

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看護師

看護師

看護師は移植前から移植後の長期的なフォローアップまで、移植治療の経過のどの段階でも患者さんに関わります。受け持ち看護師が中心となり、移植治療が円滑に進むように適切な看護を提供します。退院後には 長期フォローアップ(LTFU)外来にて、GVHDを含む移植後に起こりうるさまざまな日常生活上の問題への相談やケアをします。

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薬剤師

薬剤師

造血幹細胞移植では、様々な薬剤を長期にわたり使用します。移植治療時には薬剤や点滴のスケジュール表を作成し、患者さんに説明を行います。また、抗生物質、抗真菌剤および抗ウイルス薬の種類や量、免疫抑制剤の投与量に関しても、専門的な知識を持って担当医とともに検討しています。

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臨床工学技士

臨床工学技士

末梢血幹細胞採取やドナーリンパ球輸注のリンパ球採取の際に用いる血液成分分離装置の操作を担当します。その他病院で用いる各種医療機器の操作や保守点検にも携わっています。

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管理栄養士

管理栄養士

移植前より患者さんの栄養評価を行い、栄養状態の改善ができる様にサポートを行っています。治療の影響で食べることが困難になった場合、患者さん自身の状態に合わせて摂取できるような援助を行います。

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理学療法士

理学療法士

理学療法士は移植前には身体機能評価を行い、患者さんに応じたリハビリを計画していきます。移植中も身体機能の低下を予防・改善し、退院後の生活(復学・復職など)に支障が出ないようにリハビリを継続してサポートします。

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臨床検査技師

臨床検査技師

臨床検査技師は、採取した骨髄液中の細胞や末梢血幹細胞中の造血幹細胞(白血球や赤血球、血小板を作り出すもととなる細胞)数を測定しています。造血幹細胞数を測定することで、生着に必要な細胞数が採取できているのかの目安となります。他の移植サポートメンバーと連携を取りながら移植医療の支援を行っています。

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造血細胞移植コーディネーター(HCTC)

造血細胞移植コーディネーター(HCTC)

造血幹細胞移植が必要と言われた患者さんやご家族及び、ドナー候補となった血縁者の方の様々な疑問、不安、悩みなどの相談に乗りながら、移植や意思決定を支援していきます。また、院内スタッフや関連機関(骨髄バンク・さい帯血バンク)などとの連携を図り、円滑な移植治療が行えるようにサポートしていきます。

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メディカルソーシャルワーカー(MSW)

メディカルソーシャルワーカー(MSW)

MSWという職種は、日本語では「医療ソーシャルワーカー」と訳されており、主に医療機関で社会福祉の立場から相談援助を行っている専門職を指します。MSW の役割は、病気によって起こる経済的・心理的・社会的な問題に対して、さまざまな資源や制度の活用を通して、患者さんとご家族が問題解決されるのを側面からお手伝いさせていただくことです。

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精神科医

精神科医

がんと向き合う中で、精神的な疲労や苦痛を感じることがあるかもしれません。多くの場合、原因は思っているよりも複雑で、それが身体的な痛みを増強させていることもあるようです。専門的な治療やカウンセリングを行うことで、心や体のつらさを軽減するための支援をしています。

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歯科医

歯科医

移植後は白血球の減少などにより免疫力が低下します。免疫力が低下すると通常は感染症の原因にならなかった細菌、ウイルスや真菌(カビ)が重篤な感染症を引き起こすことがあります。そのような事態に陥らないように歯科医・歯科衛生士は移植前から患者さんを診察し、虫歯や歯周病の治療を行い、移植後も口腔ケアのお手伝いをします。

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医事課職員

医事課職員

医療費や、各種の書類申請に関する事務を担当します。その他、造血幹細胞移植に関する様々な事務的手続きをサポートしています。